奨学生掲示板
激励メッセージ 「風雪の道」
石澤奨学会創設者 石澤善重郎
「若いときの苦労は買ってでもやれ」とは、昔からよく云われてきた言葉です。しかし、恵まれない環境に生れながらそれに左右されることなく、力をつくしてわが道を進む者の苦労は、そんな生やさしいものではありません。特に、山間僻地に生れた人や、孤島の漁村に生れた人又は裏街のかたすみに生れた人などは、物質的に恵まれなかったら、こころざしを全うするためには、あらゆる困苦欠亡に堪えて行かなければなりません。そうした環境にあって勉学を続け、更に高校、大学の過程をおさめる者にとっては「苦労は買ってでもやれ」などと言う者の人の言葉は、およそ実相とは程遠いものでしょう。
諸君は多かれ少なかれその道を歩きつつあるのですから、困難に遭遇することは覚悟の上でありましょう。
実社会でよく出来た人だとか、話のわかる人だと云われる人、人々と交わってその中心となる人には、このような環境を克服した人が多いと思います。苦労の道を経て、始めて味もあり涙もある人が得られるのです。
しかし、この道を歩いて来た人の注意すべきことは、いばらの道で体験した種々のことがわざわいして、暗い影がつきまとったり、ややもすれば自己主義になりやすいことです。これが長い習慣となるとなかなか直らないもので、ひいては実社会で多くの人々と交わる折に、明るさや温みのない人だと敬遠される原因にもなります。
諸君は如何なる場合においても、明るさと人間の温みを失わないように注意してほしいものです。
これは、風雪の道を歩む人にとって最も大切なことだと思います。
(石澤奨学会機関誌「風雪」創刊号 巻頭挨拶文より/1971年〈昭和46年〉3月)
諸君は多かれ少なかれその道を歩きつつあるのですから、困難に遭遇することは覚悟の上でありましょう。
実社会でよく出来た人だとか、話のわかる人だと云われる人、人々と交わってその中心となる人には、このような環境を克服した人が多いと思います。苦労の道を経て、始めて味もあり涙もある人が得られるのです。
しかし、この道を歩いて来た人の注意すべきことは、いばらの道で体験した種々のことがわざわいして、暗い影がつきまとったり、ややもすれば自己主義になりやすいことです。これが長い習慣となるとなかなか直らないもので、ひいては実社会で多くの人々と交わる折に、明るさや温みのない人だと敬遠される原因にもなります。
諸君は如何なる場合においても、明るさと人間の温みを失わないように注意してほしいものです。
これは、風雪の道を歩む人にとって最も大切なことだと思います。
(石澤奨学会機関誌「風雪」創刊号 巻頭挨拶文より/1971年〈昭和46年〉3月)
▼ 石澤奨学会創設者 石澤善重郎(1899年〜1981年)
(年 譜)
(年 譜)
1899年 | 新潟県に出生 |
1920年 | 勤労を続けながら工学院を卒業 |
同 | 日本石油化学研究所勤務 |
1934年 | 愛国石油(株)を設立 |
1939年 | 東燃(株)取締役 |
1942年 | 日本石油(株)取締役 |
1958年 | キグナス石油精製(株)を設立 |
1959年 | 石油連盟理事 |
1969年 | 勲三等瑞宝章を受章 |
同 | 石澤奨学会を設立 |
1981年 | 享年82歳 |